超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 44(5): 567-572 (2019)
doi:10.11272/jss.259

研究Research Paper

S字状中隔例における左室内腔計測方法および検者間信頼性の検討Each Measurement Method of Left Ventricular Dimension and Inter-rater Reliability for Sigmoid Septum

1群馬県立心臓血管センター技術部Engineering department, Gunma Prefectural Cardiovascular Center

2群馬県立心臓血管センター循環器内科Department of Cardiovascular Medicine, Gunma Prefectural Cardiovascular Center

受付日:2018年2月27日Received: February 27, 2018
受理日:2019年6月14日Accepted: June 14, 2019
発行日:2019年10月1日Published: October 1, 2019
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はじめに:S字状中隔例における内腔計測は計測部位の決定が困難であり,検者間の計測値のばらつきが懸念される.今回我々はS字状中隔における計測方法の比較と検者間信頼性について検討した.

対象と方法:対象はS字状中隔50例(平均年齢76±9歳,男性22例,女性28例)とした.下記の方法①~④で左室拡張末期径を計測し,比較した.次に,検者5名が方法①~④で左室拡張末期径を計測し,級内相関係数ICC(2.1),変動係数を求め検者間信頼性を比較した.方法①中隔基部突出部から僧帽弁先端部に沿って左室後壁まで計測,②中隔基部突出部から左室後壁に垂直に計測,③中隔基部突出部を避けた中位から左室後壁に垂直に計測,④左室短軸断面の腱索レベルにおける横径.

結果:方法①と②の左室拡張末期径は方法③と④に対し,有意に小さく計測された.また,方法①と②の間,方法③と④の間には有意差は認めなかった.ICC(2.1)は,いずれも0.8以上であったが,特に方法①と②において,級内相関係数が大きく,変動係数は小であった.

考察:方法①と②はばらつきが小であったが,中隔突出部からの計測であるがため左室内腔を過小評価する可能性が示唆された.一方,方法④は横径での計測であることから左室最大径を捉えることができ,検者間信頼性も高いことから,経時的変化の観察において有用であると考えられた.

まとめ:S字状中隔例における左室内腔の短軸断面での横径計測は検者間信頼性が高く,経時的変化の観察において有用であると考えられた.

Key words: sigmoid septum; inter-rater reliability; intraclass correlation coefficients; LV innerdimenter measurement

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