超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 44(5): 581-585 (2019)
doi:10.11272/jss.282

研究Research Paper

膵の描出における左側臥位による胃内ガスの減少についてReduction of Gastric Gas During Left-lateral Position in Ultrasonographic Delineation of the Pancreas

1天王台消化器病院診断部Department of Diagnostic, Tennohdai Digestive Disease Hospital

2国家公務員共済組合連合会三宿病院診療技術部Department of Clinical Engineering, Mishuku Hospital

3日本健康管理協会新宿健診プラザ健診部Department of Health Consultation, Shinjuku Kenshin Plaza

4天王台消化器病院消化器外科Department of Gastrointestinal Surgery, Tennohdai Digestive Disease Hospital

5千葉西総合病院消化器内科Department of Gastroenterology, Chiba-Nishi General Hospital

6東京都済生会中央病院放射線科Department of Radiology, Tokyo Saisekai Central Hospital

受付日:2018年9月28日Received: September 28, 2018
受理日:2019年6月14日Accepted: June 14, 2019
発行日:2019年10月1日Published: October 1, 2019
HTMLPDFEPUB3

目的:膵は胃の後方にある臓器であり,胃内ガスは膵描出を妨げる大きな因子となっている.我々は,左側臥位で胃内ガスを減少させた後に膵体尾部の観察を行う腹部超音波走査法を推奨しているが,左側臥位での胃内ガスの減少効果を具体的に評価した報告はない.この検討の目的は,左側臥位での胃内ガスの減少効果を検証することである.

対象と方法:男性の健常ボランティア12名(年齢:40.9±9.8歳)を対象とした.発泡剤1 gを服用した後,仰臥位で3分間待機した後,左側臥位で3分間待機した後にそれぞれ低線量上腹部単純CT撮影を行い,その結果から仰臥位減少ガス量と左側臥位減少ガス量を算出して比較した.

結果と考察:仰臥位減少ガス量は中央値:16.3 mL(最小値:4.4 mL,最大値:53.5 mL),左側臥位減少ガス量は中央値:35.9 mL(最小値:3.2 mL,最大値:70.5 mL)で有意差を認めた.左側臥位は仰臥位に比べ胃内ガスが減少した.

結論:左側臥位は胃内ガスを減少させる体位であることが示唆された.腹部超音波検査で膵体尾部を描出する前に左側臥位を行うことによって膵描出が改善する可能性がある.

Key words: abdominal ultrasound; gastric gas; left-lateral position; pancreas

This page was created on 2019-08-08T13:09:56.129+09:00
This page was last modified on 2019-10-04T09:26:39.000+09:00


このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。