超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 44(6): 702-706 (2019)
doi:10.11272/jss.295

症例報告Case Report

腹部超音波検査で発見された左下大静脈の1例A Case of Left Side Inferior Vena Cava Diagnosed by Abdominal Ultrasonography

1関西医科大学香里病院臨床検査部Department of Clinical Laboratory, Kori Hospital, Kansai Medical University

2関西医科大学香里病院内科Department of Medicine, Kori Hospital, Kansai Medical University

受付日:2018年3月29日Received: March 29, 2018
受理日:2019年8月9日Accepted: August 9, 2019
発行日:2019年12月1日Published: December 1, 2019
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症例は70代男性.心窩部痛を訴え近医を受診し,精査のため当院に紹介となった.スクリーニング目的に依頼された腹部超音波検査にて,腹部大動脈(Ao)と上腸間膜動脈(SMA)に挟まれた静脈は狭窄,その末梢側は拡張しAo左側を走行して,左右総腸骨動脈分岐のわずかに末梢・左側で総腸骨静脈合流部に連なっていた.さらにAo右側には並走する静脈は認めないことから,左下大静脈(LIVC)と診断された.後日行われた造影CT検査でも超音波画像診断同様の所見が得られた.本症例は,遺残したLIVCがAoとSMAの間を横断したため圧排されナットクラッカー現象と同様の所見と考えられた.LIVCの出現頻度は,症例数が1,000例以上を対象とする肉眼解剖学的研究では0.05%,CT画像診断では0.04~0.35%とされている.下大静脈(IVC)の血管奇形の中でも,左側に単独でIVCを形成するLIVCはまれな破格であり,その超音波画像は稀少であると考えられたので報告する.

Key words: left side inferior vena cava; nutcracker phenomenon; anomaly; ultrasonography

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