超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 46(1): 44-50 (2021)
doi:10.11272/jss.301

その他その他

急性大動脈弁閉鎖不全症の2例Two Cases of Acute Aortic Valve Regurgitation

1長崎みなとメディカルセンター臨床検査部Department of Clinical Laboratory, Nagasaki Harbor Medical Center

2長崎みなとメディカルセンター心臓血管内科Department of Cardiovascular Medicine, Nagasaki Harbor Medical Center

3長崎みなとメディカルセンター心臓血管外科Department of Cardiovascular Surgery, Nagasaki Harbor Medical Center

4長崎みなとメディカルセンター病理診断科Department of Pathology, Nagasaki Harbor Medical Center

受付日:2019年5月17日Received: May 17, 2019
受理日:2020年8月7日Accepted: August 7, 2020
発行日:2021年2月1日Published: February 1, 2021
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症例①:60代男性.就寝中に突然の呼吸困難が出現し,当院救急外来を受診した.聴診ではLevineIII/VI度の拡張期雑音およびLevineII/VI度の収縮期雑音を聴取した.経胸壁心エコー図検査(TTE)では,左冠尖は逸脱し高度の大動脈弁閉鎖不全症(AR)を認めた.左室は過収縮を呈し軽度の拡大を認め,急性のARと考えられた.術中所見では左冠尖–右冠尖交連部は離開しており,左冠尖は逸脱していた.病理組織所見では3尖ともに不規則な肥厚があり,内部には粘液腫様変性がみられた.症例②:70代女性.急性冠症候群が疑われ,当院へ紹介された.聴診ではLevineIV/VI度の拡張期雑音を聴取した.TTEでは,右冠尖は逸脱し高度のARを認めた.左室は過収縮を呈しており,急性のARと考えられた.術中所見では左冠尖–右冠尖交連部が離開しており,その結果,右冠尖が逸脱したと考えられた.病理組織所見では3尖ともに内部に粘液腫様変性を認めた.まとめ:TTEで弁尖逸脱が見られた急性大動脈閉鎖不全症の2例を経験した.大動脈弁尖は交連部の離開で支持を失うと,左室流出路側に翻転するように逸脱し,急性の高度ARとなる場合がある.

Key words: acute aortic valve regurgitation; aortic valve prolapse; rupture of the aortic valve commissure; myxomatous degeneration

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