心膜液性状の変化を認めた心膜気腫の1例A Case of Pneumopericardium with Changing Echo Characterization of Pericardial Effusion
高知医療センター医療技術局Department of Medical Technology, Kochi Health Science Center
高知医療センター医療技術局Department of Medical Technology, Kochi Health Science Center
心膜気腫は,心膜腔内に空気が存在することと定義され,まれな疾患である.患者は80代の男性で,201X年2月から癌性胸膜炎の診断にて治療されていた.201X年8月に心膜液貯留を指摘,癌性心膜炎による心タンポナーデが疑われ,心囊ドレナージ目的で紹介された.入院時の心エコー図では多量の点状の内部エコーを有する心膜液貯留を認め,心拍動に一致して流動しており,血性の心膜液が疑われた.第2病日にエコーガイド下に心囊ドレナージが施行され,1リットルの血性心膜液を排液した.術後の胸部CTで心膜腔内にガス像を認め,穿刺により心膜気腫を合併したと考えられた.傍胸骨左縁アプローチによる心エコー図では,右室前面の空気のために心臓が描出されなかった.心尖部と心窩部アプローチでは右房~右室前方に空気と思われる高輝度エコー像とそれに一致する部分にはカラードプラ法にてモザイクシグナルを認めた.第9病日の心エコー図では多量の心膜液貯留を認め,心膜液内には多数の微細な粒状エコー(バブルエコー)が観察された.バブルエコーは時間経過とともに大きな粒状エコーへと変化した.これは体動により血性心膜液と混和された空気が検査中に集まって大きな粒状エコーと変化したか,あるいは,微小の気泡(空気)が超音波により壊されたかのどちらかではないかと推察された.
Key words: pneumopericardium; pericardial effusion; echocardiography; echo free space
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