超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 46(4): 340-346 (2021)
doi:10.11272/jss.331

症例報告Case Report

乳癌との鑑別を要した乳腺限局性結節性アミロイドーシスの1例A Case of Localized Nodular Amyloidosis of the Breast Suspected of Breast Carcinoma on Ultrasonography

1苫小牧市立病院臨床検査科Department of Clinical Laboratory, Tomakomai City Hospital

2JA北海道厚生連札幌厚生病院病理診断科Department of Surgical Pathology, Sapporo Kousei General Hospital

3苫小牧市立病院外科Department of Surgery, Tomakomai City Hospital

受付日:2020年6月10日Received: June 10, 2020
受理日:2021年2月2日Accepted: February 2, 2021
発行日:2021年8月1日Published: August 1, 2021
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症例は50代女性.マンモグラフィで両側乳房に良性石灰化を認め,超音波検査(US)を施行.左乳腺外上区域に径16 mmの腫瘤を認めた.腫瘤は境界部高エコー像(halo)様に見える像を呈していたことから乳癌も否定できず,生検を施行した.病理組織像で腫瘤内にはアミロイドの沈着が高度で,アミロイドーシスと診断された.病変の境界部は組織学的に,アミロイドが脂肪組織の隙間に入り込むような沈着パターンを示していた.これは硬性型浸潤性乳管癌の浸潤先進部でみられる癌細胞と線維化,周囲の脂肪組織が混在する状態と類似性を認め,腫瘤の境界部がhalo様に見えた成因と考えられた.アミロイドーシスは全身性と限局性に大別されるが,本例はシェーグレン症候群に合併した限局性アミロイドーシスと考えられた.乳腺に発生する限局性結節性アミロイドーシスはまれであり,乳癌との鑑別が難しいとされている.US像と病理組織像を対比した症例はこれまで認められないため報告する.

Key words: localized amyloidosis; breast carcinoma; ultrasonography; AL amyloidosis; Sjögren’s syndrome

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