超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 47(3): 260-267 (2022)
doi:10.11272/jss.350

その他その他

右室ストレインが有用であったCOVID-19罹患後の2例Two Cases of Right Ventricular Dysfunction after COVID-19 Infection: Usefulness of Right Ventricular Strain

1神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部Department of Clinical Laboratory, Kobe City Medical Center General Hospital

2神戸市立医療センター中央市民病院循環器内科Department of Cardiovascular Medicine, Kobe City Medical Center General Hospital

受付日:2021年5月6日Received: May 6, 2021
受理日:2022年3月27日Accepted: March 27, 2022
発行日:2022年6月1日Published: June 1, 2022
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はじめに:COVID-19罹患後に右室機能障害を呈し,特に右室機能指標として右室ストレインが有用であった2例を経験したので報告する.

症例1:60代,女性.発熱,咳,味覚障害および呼吸困難感を自覚し,I型呼吸不全を伴うCOVID-19と診断され,入院した.第3病日に12誘導心電図検査で広範な陰性T波とQT時間の延長があり,臨床経過からたこつぼ症候群と診断された.第41病日の経胸壁心エコー図検査では,左室の局所壁運動異常は指摘されず,左室ストレイン値も正常(−20.9%)であったが,右室ストレイン値は低値(−12.5%)であり,右室機能障害が示唆された.

症例2:80代,女性.発熱および全身倦怠感を自覚し,COVID-19と診断された.加療により症状は改善し,第13病日に退院した.COVID-19罹患から第33病日に全身倦怠感および呼吸困難感を自覚し,胸部単純CT検査で両側肺野にすりガラス影と浸潤影を指摘された.COVID-19の再増悪が疑われ再入院した.入院当日の経胸壁心エコー図検査では,右室ストレイン値が低値(−14.7%)であり,右室機能障害が示唆された.肺高血圧を示唆する所見に加え,右室心尖部のみ壁運動が保たれるMcConnell’s signを呈していたことから,急性肺血栓塞栓症が疑われた.造影CT検査で,両側下肢静脈および両側肺動脈に欠損影を認め,静脈血栓塞栓症と診断された.

まとめ:COVID-19罹患後に右室機能障害を呈した2例を経験した.COVID-19に伴う合併症として右室機能障害があるため,経胸壁心エコー図検査施行時に左室機能評価に加え,右室機能を評価することが重要であり,特に右室ストレインが有用と考える.

Key words: right ventricular strain; right ventricular dysfunction; Coronavirus Disease 2019(COVID-19); Takotsubo syndrome; McConnell’s sign

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