両室型・左室型たこつぼ症候群の臨床的特徴に関する検討Comparative Examination of the Clinical Features of Biventricular and Left Ventricular Takotsubo Syndrome
獨協医科大学埼玉医療センター超音波センターDokkyo Medical University Saitama Medical Center, Ultrasound Diagnostic Center
獨協医科大学埼玉医療センター超音波センターDokkyo Medical University Saitama Medical Center, Ultrasound Diagnostic Center
背景・目的:たこつぼ症候群はストレスを誘因とし,心機能障害を引き起こす病態である.左室収縮障害を特徴とするが,25~42%の症例で右室にも病変が及び,この場合には重篤化すると報告がある.右室にも壁運動低下を認めた両室型たこつぼ症候群と,収縮障害が左室に限局した左室型たこつぼ症候群の臨床的特徴と心エコー所見の相違を検討した.
対象・方法:対象は冠動脈造影で有意狭窄病変を認めず,たこつぼ症候群と診断された12例(平均年齢72±11歳,女性10例)である.初診時心エコー検査で,両室型と左室型の2群に分け,年齢,性別,初診時心電図,胸水の有無,初診時心エコー指標,血液検査(peak CK, peak CK-MB),経過中の補助循環装置使用の有無,転帰について比較検討した.
結果:両室型は半数の6例に認められた.左室型に比し,両室型のLVEF, FACは有意に低下し,心電図導出右側胸部誘導の陰性T波が全例に認められた.また両室型の2例は経過中に補助循環装置を使用し,死亡も1例に認めたが左室型では補助循環装置の使用はなく死亡例も認めなかった.
考察・結語:両室型たこつぼ症候群は半数に認められ,左室型に比べて重篤な経過をたどる例が多かった.心エコー検査は本症候群を疑う最初の診断法として有用であり,右室病変を含む壁運動異常を正しく評価することが大変重要である.
Key words: biventricular Takotsubo syndrome; left ventricular Takotsubo syndrome; biventricular systolic dysfunction; right-sided electrocardiogram
© 2021 一般社団法人日本超音波検査学会© 2021 Japanese Society of Sonographers
This page was created on 2021-10-11T13:37:20.039+09:00
This page was last modified on 2021-11-16T11:53:13.000+09:00
このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。