超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 47(5): 498-504 (2022)
doi:10.11272/jss.373

症例報告Case Report

原因不明の呼吸不全の評価に生食コントラスト心エコー図検査が有用であった1例Utility of Normal Saline Contrast Echocardiography for Diagnosis of Respiratory Failure: A Case Report

1札幌医科大学附属病院検査部Division of Laboratory Medicine, Sapporo Medical University Hospital

2札幌医科大学医学部感染制御・臨床検査医学講座Department of Infection Control and Laboratory Medicine, Sapporo Medical University School of Medicine

3札幌医科大学医学部循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座Department of Cardiovascular, Renal and Metabolic Medicine, Sapporo Medical University School of Medicine

4札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科学講座Department of Respiratory Medicine and Allergology, Sapporo Medical University School of Medicine

受付日:2022年1月16日Received: January 16, 2022
受理日:2022年7月25日Accepted: July 25, 2022
発行日:2022年10月1日Published: October 1, 2022
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症例は50代女性.当院消化器内科でB型肝硬変と診断され,通院加療されていた.徐々に悪化する息切れを主訴に当院呼吸器科内科へ紹介となり,身体所見および動脈血液ガス分析からI型呼吸不全と診断された.胸部CT検査,肺機能検査,血液検査では呼吸不全の原因を示唆する所見は認められなかった.心エコー図検査においても,心不全の原因となりうる有意な弁膜症および肺高血圧症の合併を疑う所見はみられず,心房・心室位に短絡血流を示唆する異常血流も認められなかった.そこで,生食コントラスト心エコー図検査が実施されたところ,右房・右室にマイクロバブルが確認された5心拍後に左房・左室へのマイクロバブルの流入が認められた.その後,マイクロバブルの染影効果により左房・左室全体が造影された.同検査所見から,呼吸不全および低酸素血症の原因は肝硬変に合併する肝肺症候群と考えられ,99mTcMAA肺血流シンチグラフィーの結果とあわせて確定診断された.治療方針として,低酸素血症に対して在宅酸素療法が導入され,肝硬変については肝移植が検討されることになった.

生食コントラスト心エコー図検査は肝肺症候群に対して低侵襲,低コスト,高感度の検査である.本症例のような疑い症例に対して,スクリーニングとして積極的に施行されるべき検査と考える.

Key words: normal saline contrast echocardiography; hepatopulmonary syndrome; cirrhosis; respiratory failure

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