超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 48(3): 283-290 (2023)
doi:10.11272/jss.375

その他その他

僧帽弁形成術中に経食道心エコーで評価しえた術中再施行例と術中大動脈解離例の経験Experience with Cases of Intraoperative Redo and Intraoperative Aortic Dissection Evaluated by Transesophageal Echocardiography during Mitral Valve Plasty

1岡崎市民病院医療技術局超音波検査室Department of Ultrasonography, Medical Technology Bureau, Okazaki City Hospital

2岡崎市民病院医療技術局診療技術室Department of Clinical Therapy, Medical Technology Bureau, Okazaki City Hospital

受付日:2022年1月31日Received: January 31, 2022
受理日:2023年2月14日Accepted: February 14, 2023
発行日:2023年6月1日Published: June 1, 2023
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僧帽弁形成術中に経食道心エコーが有用であった2症例を経験した.

症例1は50代,男性.腸炎での入院時心電図で陳旧性心筋梗塞が疑われ,経胸壁心エコー検査を施行した.左室駆出率59%,左室下壁は無収縮で菲薄化を呈し,僧帽弁後尖のtetheringによる僧帽弁逆流は中等度で左房後壁側に偏位していた.経食道心エコーで僧帽弁後尖は短小でtetheringにより前尖との接合不全を認めた.僧帽弁形成術を施行するも,形成後の術中経食道心エコーで基準以上の残存僧帽弁逆流を認めたため術中再形成術となった.

症例2は70代,女性.心房細動,うっ血性心不全で紹介され,来院時に経胸壁心エコー検査を施行した.左室駆出率65%,左房は著明に拡大し,hamstringing現象により左房後壁側に偏位した重度の心房性機能性僧帽弁逆流に対し僧帽弁輪形成術が施行された.弁輪形成後の残存僧帽弁逆流の評価中に,経食道心エコーで上行大動脈にflapを疑い術野からの経大動脈壁エコーで解離を確認した.大動脈遮断部からの急性大動脈解離Stanford A型と診断し上行大動脈置換術が追加となった.

僧帽弁形成術前の経胸壁および経食道心エコーと術中経食道心エコーを担う技師として,術前の詳細な観察と評価は重要であり,僧帽弁形成術中の経食道心エコーでは,限られた時間の中で術式の変更および追加手術へも対応できる迅速かつ正確な評価が必要となる.

Key words: mitral valve plasty; intraoperative redo; transesophageal echocardiography; intraoperative complication; aortic dissection

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