超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 48(1): 38-43 (2023)
doi:10.11272/jss.380

症例報告Case Report

超音波検査で術前診断された虫垂憩室炎の1例A Case of Appendiceal Diverticulitis Preoperatively Diagnosed by Ultrasonography

1霧島市立医師会医療センター臨床検査室Department of Clinical Laboratory, Kirishima Medical Center

2霧島市立医師会医療センター放射線室Department of Radiation Laboratory, Kirishima Medical Center

3霧島市立医師会医療センター病理診断室Department of Pathology Laboratory, Kirishima Medical Center

4鹿児島大学大学院医歯学総合研究科先進治療科学専攻腫瘍学講座病理学分野Department of Pathology, Kagoshima University Graduate School of Medical and Dental Sciences

5霧島市立医師会医療センター外科Department of Surgery, Kirishima Medical Center

6霧島市立医師会医療センター消化器内科Department of Gastroenterology, Kirishima Medical Center

受付日:2022年3月14日Received: March 14, 2022
受理日:2022年11月18日Accepted: November 18, 2022
発行日:2023年2月1日Published: February 1, 2023
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症例は70代男性,右下腹部痛と発熱で当院紹介受診となった.他院の単純C Tでは,回盲部と虫垂に強い炎症を認めるが,炎症の主座の特定が困難であった.当院超音波検査で,虫垂に三つの外側へと突出する腫瘤像とその周囲脂肪織にエコー輝度上昇域(周囲脂肪織炎)を認めた.根部側の腫瘤の輪郭は不明瞭で,周囲に貯留液を疑う無エコー域を認めた.また,腫瘤の輪郭に沿った弧状の血流シグナルを認めた.これらの所見から虫垂憩室炎と診断し,腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.病理組織診断は,腹膜炎を伴う虫垂憩室炎であった.本症例は超音波検査で虫垂憩室炎の所見が明瞭に描出できたことにより,迅速に治療へと移行できた症例であった.虫垂憩室炎は急性虫垂炎と診断され,術中もしくは術後に虫垂憩室炎と判明することが多いが,穿孔のリスクが高く,早急な診断が望ましい.超音波検査で系統的走査により虫垂を正確に同定し,分解能が高い高周波プローブで詳細な観察をすることで,今回のように虫垂憩室炎の診断が可能となった.超音波検査で診断ができれば,患者負担や放射線被曝も少なく,スムーズに治療へと移行することが期待できる.

Key words: appendiceal diverticulitis; ultrasonography; preoperative diagnosis

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