超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 48(1): 44-50 (2023)
doi:10.11272/jss.383

症例報告Case Report

超音波検査にて鑑別に苦慮した若年女性の膵腺房細胞癌の1例A Case of Pancreatic Acinar Cell Carcinoma in a Young Female Who Had Difficulty Diagnosing by Ultrasonography

1姫路赤十字病院検査技術部Department of Clinical Laboratory, Japanese Red Cross Society Himeji Hospital

2姫路赤十字病院内科Internal medicine, Japanese Red Cross Society Himeji Hospital

受付日:2022年3月30日Received: March 30, 2022
受理日:2022年10月19日Accepted: October 19, 2022
発行日:2023年2月1日Published: February 1, 2023
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患者は20代女性.心窩部痛で前医を受診し,CT検査で膵腫瘍を認めたため,当院紹介となった.超音波検査(Ultrasonography: US):膵頭部に膨張性発育を示す64×56 mmの境界明瞭,輪郭整な低エコー腫瘤を認めた.腫瘤内部は石灰化像や無エコー域があり,高感度ドプラ法ではわずかな血流シグナルを認めた.肝臓の両葉に多数の辺縁低エコー帯を伴う等エコー腫瘤を認めた.造影US:膵腫瘤を造影し,動脈優位相で不均一な濃染を認めた.造影CT・MRI検査:膵頭部に外方性に膨張性の発育を示す腫瘤を認めた.横行結腸や十二指腸との境界が不明瞭であり,一部浸潤が疑われた.内部は不均一で広範な出血壊死と石灰化を認めた.他,多発肝転移,リンパ節腫大を認めた.以上より,Solid-pseudopapillary neoplasm(SPN)の高度悪性転化が疑われたが,神経内分泌癌や腺房細胞癌(Acinar cell carcinoma: ACC),退形成癌の否定ができないため,肝腫瘤より肝生検が施行された.病理組織学的所見は好酸性の胞体と類円形の核を持つ比較的均一な細胞が,乳頭状に増殖し,一部に管状構造も認めた.免疫染色ではBCL10は陽性でありACCの肝転移と診断された.SPN, ACCは腫瘍性状のみの画像上の鑑別は困難であり,免疫組織学的所見も含めオーバーラップしている可能性が報告されている.これらの腫瘍は,常に鑑別診断として念頭におき,各種所見を総合して慎重に判断する必要があると考えられた.

Key words: acinar cell carcinoma; solid-pseudopapillary neoplasm; young female; pancreas tumor; ultrasonography

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