超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 47(6): 597-602 (2022)
doi:10.11272/jss.384

症例報告Case Report

左房粘液腫摘出術後に右房壁内血腫を認めた1例A Case of Intramural Hematoma in the Right Atrium after Excision of Left Atrial Myxoma

天理よろづ相談所病院臨床検査部Department of Clinical Laboratory, Public Interest Incorporated Foundation Tenri Hospital

受付日:2022年4月14日Received: April 14, 2022
受理日:2022年9月21日Accepted: September 21, 2022
発行日:2022年12月1日Published: December 1, 2022
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症例は80代女性.前医で左房内腫瘤を指摘され,心臓腫瘤摘出術目的で当院に紹介受診された.初診時の経胸壁心臓超音波検査(TTE)で左房の心房中隔側に23×11 mmの比較的広基性で可動性に乏しい腫瘤を認め,左房粘液腫が疑われた.同月に左房内腫瘤摘出術が施行され,腫瘤は病理診断で粘液腫と診断された.経過良好のため術後21日目で退院となった.術後4か月のTTEで,右房の自由壁側に25×15 mmのなだらかに隆起する可動性のない腫瘤を認めた.腫瘤は無茎性で,表面は高輝度,内部のエコー性状は不均一,カラードプラ法でわずかに血流信号を認めた.造影CTとMRIでも,同部位に腫瘤病変を認め,右房腫瘤の大きさは28×16×52 mm,右房自由壁から背側に広がる形態であった.腫瘤の位置は左房粘液腫摘出術の右房切開痕に相当する部位であり,右房壁内または心囊内の血腫が最も疑われた.血行動態への影響は認めず,外来で経過観察の方針となった.腫瘤は術後6か月目のTTEで14×10 mm,術後11か月目のTTEで10×6 mmと徐々に退縮傾向であり,TTEによる腫瘤の経時的な変化からも心房壁内血腫と考えられた.左房粘液腫摘出術後に右房腫瘤を認めた1例を経験した.心臓腫瘤の鑑別は治療方針に大きく影響するため,形態,大きさ,内部の性状の経時的な変化を追うことが重要であり,非侵襲的なTTEは腫瘤病変の経時的変化の評価に有用であった.

Key words: transthoracic echocardiography; right atrial mass; atrial intramural hematoma

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