経胸壁心エコー図検査で治療経過を観察した心臓悪性リンパ腫の5例
1 大阪市立総合医療センター生理機能検査部
2 大阪市立総合医療センター循環器内科
3 大阪市立十三市民病院 中央臨床検査部
当院において20年間で5例の心臓悪性リンパ腫を経験した.全例がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B cell lymphoma: DLBCL)であった.発見の契機は全例で胸部CT検査であり,孤立性の心臓腫瘍は2例であった.腫瘍の存在部位は心室中隔が1例,4例は右房自由壁側で,そのうち1例では右房から右室にわたる自由壁側に存在し,三尖弁輪後尖を巻き込むように認められた.心臓悪性リンパ腫の診断は,右篩骨洞腫瘍の生検で診断された1例を除いて,2例は経胸壁心エコー図(transthoracic echocardiography: TTE)ガイド下生検,1例は心腔内エコー図(intracardiac echocardiography: ICE)ガイド下生検,1例ではTTEやICE下で腫瘤を採取できなかったため開胸生検にて診断された.全例において化学療法によって心臓腫瘍が縮小する過程をTTEで観察することができ,4例は7か月から5年8か月(平均2年10か月)で死亡したが,1例では10年経過した時点で生存している.心臓悪性リンパ腫は化学療法で著明に縮小して長期の生命予後が望めることもあり,その発見および治療後の経過観察にTTEが有用であると思われる.また,治療を開始するための確定診断には腫瘤生検が必要であり,そのガイドにTTEやICEが有用である.
Key words: cardiac malignant lymphoma; DLBCL; echocardiography; cardiac tumor
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