超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 40(5): 515-519 (2015)
doi:10.11272/jss.40.515

症例報告Case Report

原発性リンパ浮腫と診断されていたKlippel-Trenaunay症候群に大腿深動脈瘤を合併していた1例Klippel-Trenaunay Syndrome Patient with Aneurysm of Right DFA, It Had Been Diagnosed for Primary Lymphedema of Right Lower Extremity

1国家公務員共済組合連合会東海病院検査科Department of Clinical Laboratory, Tokai Hospital ◇ 〒464-8512 愛知県名古屋市千種区千代田橋一丁目1番1号1-1-1 Chiyodabashi, Chikusa-ku, Nagoya-shi, Aichi 464-8512, Japan

2名古屋大学医学部附属病院医療技術部臨床検査部門Clinical Examination Group, Department of Medical Technique, Nagoya University Hospital ◇ 〒466-8560 愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65番地65 Tsurumai-cho, Showa-ku, Nagoya-shi, Aichi 466-8560, Japan

3横浜市立大学医学部医学科形成外科学教室Department of Plastic and Reconstructive Surgery, Medical Course, School of Medicine, Yokohama City University ◇ 〒236-0004 神奈川県横浜市金沢区福浦三丁目9番地3-9 Fukuura, Kanazawa-ku, Yokohama-shi, Kanagawa 236-0004, Japan

受付日:2015年1月31日Received: January 31, 2015
受理日:2015年8月1日Accepted: August 1, 2015
発行日:2015年10月1日Published: October 1, 2015
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症例は30歳代女性.生下時より右下肢浮腫があり,近医でリンパ管造影などの検査を受けたが確定診断には至らなかった.20歳代で前医にて原発性リンパ浮腫と診断され,入院による圧迫療法などを施行.その後,10年近く自己判断で治療を中断していた.半年前より浮腫は徐々に増悪し受診.初診時に下肢長の左右差が指摘され,Klippel-Trenaunay症候群の可能性が示唆された.浮腫患者に対するルーチンの下肢静脈超音波検査時に右大腿深動脈起始部に最大短径44 mmの瘤を認めた.下肢深部静脈の検索範囲内では血栓症の合併はなく,軽度の静脈瘤は認めるが重度の血管腫は伴わなかった.末梢動脈の血栓閉塞による虚血症状がなく,切迫破裂を疑う症状もないことから,右大腿深動脈瘤は慎重に経過観察することになり,浮腫に対する圧迫治療が優先された.

Klippel-Trenaunay症候群には,深部静脈血栓症や慢性血液凝固障害,血便・血尿・鼻出血などの出血傾向以外にも数件ではあるが各種動脈瘤の合併も報告されている.本例ではリンパ管造影検査しか行われておらず,疾患の全体像が明らかでなかったが,超音波スクリーニングにて合併症の有無や優先すべき治療方法が明確になり超音波検査は非常に有用と思われた.

Key words: Klippel-Trenaunay syndrome; ultrasonography; aneurysm; deep femoral artery

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