超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 40(6): 670-676 (2015)
doi:10.11272/jss.40.670

症例報告Case Report

超音波検査で描出し得た小腸子宮内膜症の1例A Case of Small Intestinal Endometriosis Detected by Ultrasonography

飯田市立病院診療技術部放射線科Department of Radiology, Division of Medical Technology, Iida Municipal Hospital ◇ 〒395-8502 長野県飯田市八幡町438番地Yawata-machi 438, Iida-shi, Nagano 395-8502, Japan

受付日:2015年3月19日Received: March 19, 2015
受理日:2015年10月9日Accepted: October 9, 2015
発行日:2015年12月1日Published: December 1, 2015
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腸管子宮内膜症は近年子宮内膜症の増加に伴い報告例も増加傾向にあるが,超音波検査を施行した腸管子宮内膜症の報告例は少ない.今回超音波検査にて描出し得た小腸の腸管子宮内膜症の1例を経験したので報告する.症例は44歳女性,心窩部痛と嘔吐を主訴に当院を受診した.腹部CTでは小腸は拡張しており,左下腹部の小腸に腫瘤状の壁肥厚を認め腸閉塞の原因と考えた.超音波検査でも左下腹部の小腸に内腔側へ凸となる最大径25×15 mmの腫瘤を認めた.腫瘤は粘膜下層に比べて低エコーで内部に高エコーが混在し不均一であり,第4層の固有筋層を主座とする粘膜下腫瘍を考えた.ドプラでは血流信号を認めなかった.以上より粘膜下腫瘍による腸閉塞と診断し,小腸の部分切除術を施行した.切除標本の割面像では筋層から漿膜下組織にかけて淡褐色の病変を散在性に認め,病理組織学的所見で肥厚した固有筋層内に多数の子宮内膜様腺管構造と周囲に子宮内膜間質を認めることから腸管子宮内膜症と診断した.腸管子宮内膜症の主座は固有筋層と漿膜下組織であり,それを反映し超音波検査では固有筋層を主座とする粘膜下腫瘍様病変として描出されたと考えられた.

キーワード:腸管子宮内膜症;腸閉塞;超音波

Key words: intestinal endometriosis; intestinal obstruction; ultrasonography

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