超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 41(2): 167-173 (2016)
doi:10.11272/jss.41.167

症例報告Case Report

興味深いパルスドプラ波形を示した両側内頸動脈瘤の1症例A Report of Both Sides Internal Carotid Artery Aneurysm Which Showed an Interesting Pulse Doppler Wave Pattern

1天神会新古賀病院診療支援部臨床検査課生理機能検査室Echo Lab, Tenjinkai Shin Koga Hospital

2天神会新古賀病院循環器内科Department of Cardiovascular Medicine, Tenjinkai Shin Koga Hospital

受付日:2015年6月5日Received: June 5, 2015
受理日:2015年12月12日Accepted: December 12, 2015
発行日:2016年4月1日Published: April 1, 2016
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今回,我々は興味深いパルスドプラ波形(以下,PW)を呈した頭蓋外内頸動脈瘤の1例を経験したので報告する.症例は63歳女性.2005年より左側,2009年より右側に頸部腫瘤を触知していたが,そのまま放置.来院時頸部超音波検査では右内頸動脈に病変長径40 mmの紡錘状瘤,左内頸動脈に病変長径70 mmの囊状瘤を認め,瘤内には旋回血流を認めた.また,同時に記録された右総頸動脈血流のパルスドプラ波形は順行性波形であったのに対し,左総頸動脈血流のPWは汎拡張期逆流を有するto and fro波形を呈していた.さらに,後日施行された脳血流シンチグラフィー検査では左中大脳動脈の血流低下所見を認め,術後の頸部超音波検査では左側総頸動脈血流波形は通常の順行性波形へと変化していた.

左内頸動脈囊状瘤内を大きく旋回する血流を認めたことや,術前に認めた総頸動脈血流波形の左右差が術後に消失したことから,左右各々の瘤形態が波形の差異に関与していた可能性は強く疑われる.また,上記の囊状瘤内旋回血流は術前に認めたto and fro波形の要因であったと思われ,シンチグラフィー検査で認めた血流低下所見とも説明がつく.以上より超音波検査で認めた総頸動脈血流の左右差は瘤形態の違いを反映してのものだったと思われた.

本症例において,瘤の存在診断のみならず,末梢の血流評価を行う上でもリアルタイムに診断できる超音波検査は非常に有用であった.

キーワード:頭蓋外内頸動脈瘤;総頸動脈血流;内頸動脈血流;パルスドプラ波形;to and fro波形

Key words: extracranial internal carotid artery aneurysm; common carotid artery blood flow; internal carotid artery blood flow; pulse doppler wave puttern; to and fro wave pattern

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