超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 41(5): 492-512 (2016)
doi:10.11272/jss.41.492

研究Research Paper

卵巣腫瘤の超音波所見の検討Evaluation of Ovarian Tumors by Ultrasound Findings

1東邦大学医療センター大森病院臨床生理機能検査部Department of Clinical Functional Physiology, Toho University Omori Medical Center

2東邦大学医療センター大森病院産婦人科Department of Obstetrics and Gynecology, Toho University Omori Medical Center

受付日:2016年3月31日Received: March 31, 2016
受理日:2016年7月26日Accepted: July 26, 2016
発行日:2016年10月1日Published: October 1, 2016
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目的:Bモード所見とドプラ所見によりJSUM分類を細分化することで,卵巣腫瘤の超音波診断精度向上が可能か検証すること.

対象と方法:Bモード所見の検討では2009年1月~2013年12月に当院で卵巣腫瘤を摘出し,摘出前6か月以内に判読可能な超音波画像が得られた336症例375腫瘤(良性:257,境界悪性:40,悪性: 78),ドプラ所見の検討ではBモード所見に関する検討対象症例のうち,血流画像の得られた308症例336腫瘤(良性:226,境界悪性:39,悪性: 71),PI, RIの検討ではFFT解析が行われた46症例47腫瘤(良性:23,境界悪性:10,悪性: 14)を対象として,レトロスペクティブに検討を行った.i)Bモード所見:①JSUM分類各型における良悪性の割合,②年齢と良悪性の関係,③腫瘤サイズと良悪性の関係,④IV型における充実性部分の形態分類,ii)ドプラ所見:①JSUM分類各型における良悪性の割合,②ドプラによる血流の有無における良悪性の割合,③IV型における血流の局在と充実性部分の形態との関係,④PI, RIによる良悪性鑑別,iii)Bモード・ドプラを併用した卵巣腫瘤の超音波診断ストラテジーの9項目を検討した.

結果と考察:IV型は充実性部分を乳頭状,非乳頭状,隔壁不整に,さらにドプラにより充実部に血流有,隔壁境界部のみに血流有,血流無に分類し,V型・VI型は血流の有無により分類することで,超音波診断精度向上の可能性が示唆された.

結論:Bモードによる充実性部分の形態評価と,ドプラによる血流の局在・有無を考慮することで,より精度の高い卵巣腫瘤の超音波診断が可能となる可能性が示唆された.

Key words: ovarian tumor; ultrasonography; Doppler

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