超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 49(1): 21-27 (2024)
doi:10.11272/jss.413

症例報告Case Report

背部アプローチが有用であった大動脈瘤の1例Usefulness of the Echocardiographic Paravertebral Approach for the Evaluation of Thoracic Aortic Aneurysm: A Case Report

1九州大学病院ハートセンターHeart Center, Kyushu University Hospital

2九州大学病院血液・腫瘍・心血管内科Department of Hematology, Oncology and Cardiovascular Medicine, Kyushu University Hospital

3東京都健康長寿医療センター循環器内科Department of Cardiology, Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology

受付日:2023年5月29日Received: May 29, 2023
受理日:2023年11月20日Accepted: November 20, 2023
発行日:2024年2月1日Published: February 1, 2024
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今回,背部アプローチが胸部下行大動脈の観察に有用であった症例を経験したので報告する.症例は70代男性.間欠性跛行の精査の結果,血栓閉塞を伴う胸腹部大動脈瘤を指摘され当院受診となった.心臓超音波検査で胸部大動脈から腹部大動脈にかけて広範囲に拡大を認め,腹部大動脈は閉塞状態であった.胸部下行大動脈は,傍胸骨アプローチおよび心尖部アプローチでは明瞭な観察は困難であったが,心窩部アプローチで血管内腔に可動性構造物を認めた.背部アプローチを行い椎体左縁から描出したところ胸部大動脈が明瞭に描出され,血管内壁の潰瘍や可動性構造物を明瞭に観察することができた.その後,腹部大動脈瘤に対してステントグラフト内挿術が行われ,術後経過は良好で下肢症状も改善した.胸部下行大動脈は心臓背側を走行しており,経胸壁アプローチにおいて明瞭な描出が難しい.背部アプローチは,解剖学的条件により視野は限られるが,非侵襲的,非造影下でも血管の性状や胸部大動脈瘤・解離を評価することができ,有用な所見が得られる症例がある.

Key words: paravertebral approach; multi-view approach; transthoracic echocardiography; thoracic aortic aneurysm; shaggy aorta

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