超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 42(1): 18-23 (2017)
doi:10.11272/jss.42.18

研究Research Paper

超音波検査による潰瘍型頸動脈プラークの特徴The Association of the Site of Carotid Plaque Ulceration with Ultrasonographical Findings

1福岡大学病院臨床検査部Department of Clinical Laboratory, Fukuoka University Hospital

2福岡大学病院神経内科Department of Neurology, Fukuoka University Hospital

3福岡大学病院脳神経外科Department of Neurosurgery, Fukuoka University Hospital

受付日:2016年1月30日Received: January 30, 2016
受理日:2016年8月19日Accepted: August 19, 2016
発行日:2017年2月1日Published: February 1, 2017
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目的:プラーク上の潰瘍の存在位置ごとの特徴を明らかにする.

方法:対象は,2013年10月から2015年10月に当院臨床検査部で施行した同一患者を除く潰瘍を認めた症例107例(平均年齢73.4±7.7歳,M/F: 91/16)の126潰瘍.解析は,プラークを中枢部,中心部,末梢部の3分割し,陥凹の深さ,潰瘍底部の動きなどのプラークの特徴との関連を検討した.また,経過観察し得た37潰瘍について形状の変化の有無とプラークの特徴について検討した.

結果:潰瘍形成部位は,中枢部が最も多く中心部が最も少なかった(中枢部:59潰瘍,末梢部:37潰瘍,中心部:30潰瘍,p<0.05).潰瘍の部位別比較は,潰瘍の深さと可動性に有意差を認め,2.9 mm以下の潰瘍は中枢部に多く(42潰瘍),3.0 mm以上の潰瘍は末梢部に多かった(20潰瘍)(p<0.05).また,可動性は中心部に多く認められた(p<0.05).潰瘍変化の有無と各指標との検討では,可動性と面積狭窄率のみが潰瘍の変化と関連し,可動性を有する群はすべての潰瘍に変化を認め(p<0.05),面積狭窄率75%以上90%未満の群に潰瘍の変化を認めた(p<0.05).

考察:プラークの中枢部は,シェアストレスによる影響が大きく,これが潰瘍形成や潰瘍の形態変化に関与している可能性が示唆された.またプラークの末梢部は,渦流による内皮障害の影響を受けやすく,これが潰瘍の深さに関与している可能性が示唆された.

結論:潰瘍は,プラークの中枢部に多く存在し,深い潰瘍は末梢部に多く出現する.潰瘍の経時的な変化は潰瘍の可動性はもちろんのこと,中等度狭窄を有する群と等輝度な潰瘍に多く認められる傾向があり,潰瘍が形成される以前の所見も十分に観察する必要がある.

Key words: ulcer; proximal shoulder; mobility

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