超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 49(5): 498-505 (2024)
doi:10.11272/jss.425

症例報告Case Report

画像診断で多彩な所見を示し肝細胞癌との鑑別に苦慮した肝紫斑病の1例A Case of Peliosis Hepatis that Showed Various FIndings in Diagnostic Imaging and Struggled to Differentiate from Hepatocellular Carcinoma

1広島大学病院検査部Division of Laboratory Medicine, Hiroshima University Hospital

2広島大学病院診療支援部生体検査部門Division of Physiological Function, Department of Clinical Practice and Support, Hiroshima University Hospital

3広島大学病院消化器内科Department of Gastroenterology, Hiroshima University Hospital

4広島大学病院病理診断科Department of Anatomical Pathology, Hiroshima University Hospital

受付日:2023年10月18日Received: October 18, 2023
受理日:2024年7月5日Accepted: July 5, 2024
発行日:2024年10月1日Published: October 1, 2024
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症例は40代男性,主訴は特になし.既往歴は高IgD症候群の疑いで当院に通院中であった.他院の人間ドックの超音波検査で肝腫瘤を指摘され,精査目的で当科紹介となった.来院時の血液検査ではγ-GTPは70 U/Lやや高値であったが,肝予備能や腫瘍マーカー等異常所見は認めない.CRPは6.7 mg/dLと上昇を認め,高IgD症候群の影響で高値を示したと考える.超音波検査では,S6に47×25 mmの等~低エコー腫瘤を指摘した.造影超音波検査では動脈優位相で腫瘤内部が濃染され,門脈優位相では周囲肝実質と同程度の造影効果となり,後血管相では造影効果の低下を認めた.dynamic CTにおいては,動脈相から門脈相で辺縁がわずかに造影され,平衡相では全体がほぼ均一で等吸収から淡い低吸収を示した.MRIでは肝S6に38×35 mmの腫瘤を認め,T1強調画像で肝実質よりわずかな低信号を呈し,T2強調画像で辺縁に淡い高信号,内部はやや低信号を呈し,拡散強調像では高信号となった.画像診断で多彩な所見を呈し確定診断のために経皮的肝生検が行われ,肝紫斑病と診断された.造影超音波検査をし得た肝紫斑病の1例を経験したので報告する.

Key words: Peliosis hepatis; Sonazoid; contrast enhanced ultrasonography (CEUS); hepatocellular carcinoma

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