超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 43(1): 50-53 (2018)
doi:10.11272/jss.43.50

症例報告Case Report

術前心エコーで偶然発見され,下大静脈内腫瘤との鑑別を要したJuxtacaval fatの1例A Case of Juxtacaval Fat, Requiring Differentiation from Inferior Vena Cava Mass, Accidentally Deted at Preoperative Echocardiographic Examination

高知医療センター医療技術局Department of Medical Techonolgy, Kochi Health Science Center

受付日:2017年6月29日Received: June 29, 2017
受理日:2017年10月13日Accepted: October 13, 2017
発行日:2018年2月1日Published: February 1, 2018
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患者は60歳代の男性.左足のしびれ,冷感を主訴に他院を受診.左外腸骨動脈から下腿動脈に狭窄,閉塞が認められ,閉塞性動脈硬化症の疑いで当院紹介となった.術前の心エコー検査にて右房圧推定の目的で下大静脈を描出した際,開口部に14×15 mm大の高エコー腫瘤を認めた.コンベックスプローブでも下大静脈の観察を行い,短軸,長軸の2方向で腫瘤を描出し,下大静脈内の血栓,または腫瘍塞栓が疑われると判断した.しかし,同日に撮像したCTでは下大静脈内の腫瘤と血管外の脂肪組織との連続性が認められ,エコーで描出された高エコー腫瘤は下大静脈内に存在するのではなく,血管外の脂肪組織であり,これが下大静脈を圧迫し,変形させていると判断された.肝静脈が下大静脈に流入するレベルにおいて下大静脈周囲に脂肪組織を認めることがあり,juxtacaval fatと呼ばれている.本症例でみられた脂肪組織はこのjuxtacaval fatであったと考えられた.今回我々は,血管外の脂肪組織が下大静脈を圧迫し,変形させ,あたかも下大静脈内に存在しているようにみえた比較的まれな1例を経験した.

Key words: juxtacaval fat; inferior vena cava mass; ultrasound; pseudo lipoma

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