超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 43(5): 580-585 (2018)
doi:10.11272/jss.43.580

症例報告Case Report

大動脈弁狭窄症を契機に発見された高齢左房性三心房心の1例Unexpected Detection of Cor Triatriatum in Elderly Patient with Aortic Valve Stenosis

1国際医療福祉大学病院検査室Department of Clinical Laboratory, International University of Health and Welfare Hospital

2福島県立医科大学集中治療部Intensive Care Unit, Fukushima Medical University

3国際医療福祉大学病院循環器内科Department of Cardiology, International University of Health and Welfare Hospital

4国際医療福祉大学病院心臓血管外科Department of Cardiovascular Surgery, International University of Health and Welfare Hospital

受付日:2017年10月30日Received: October 30, 2017
受理日:2018年6月2日Accepted: June 2, 2018
発行日:2018年10月1日Published: October 1, 2018
HTMLPDFEPUB3

今回我々は,大動脈弁狭窄症に対する精査時に偶然発見された高齢三心房心の1例を経験したので報告する.症例:70歳代男性.既往歴:前立腺癌,慢性硬膜下血腫,発作性心房細動.現病歴:近医にて心雑音を指摘され当院紹介となる.外来受診時,Erb領域に最強点をもつ収縮期駆出性雑音を聴取した.心電図は洞調律で左室肥大所見あり,胸部レントゲンにて軽度心拡大を認めた.経胸壁心エコー図検査では求心性左室肥大と下壁から後壁基部の壁運動低下を認めた.大動脈弁は三尖ともに高度石灰化を認め,大動脈弁位最高血流速4.4 m/s,左室–大動脈平均圧較差41.7 mmHg,大動脈弁弁口面積0.6 cm2(連続の式)であり,重症大動脈弁狭窄症と診断した.また,左房内に左心耳–左上肺静脈間から連続する異常隔壁を認め,三心房心と診断した.心臓カテーテル検査では冠動脈に有意狭窄なく,肺動脈楔入圧18 mmHgと軽度上昇していた.心臓MRIにて左房内に異常隔壁を認め,術中経食道心エコー図検査では直径3.2 mmの卵円孔開存を認めた.以上より,重症大動脈弁狭窄症,三心房心,発作性心房細動,卵円孔開存の診断となり,大動脈弁置換術,異常隔壁切除術,両側肺静脈隔離術および卵円孔開存閉鎖術を施行した.本症例は,真腔(固有左房)と副腔間の交通孔が大きく,卵円孔開存による短絡血流量が少なかったことから,高齢まで無症状で経過したと考えられた.

Key words: echocardiography; cor triatriatum; aortic valve stenosis; patent foramen ovale

This page was created on 2018-07-27T14:33:22.81+09:00
This page was last modified on 2018-10-05T09:58:41.667+09:00


このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。