超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 43(5): 586-592 (2018)
doi:10.11272/jss.43.586

症例報告Case Report

IgG4関連自己免疫性膵炎の3症例診断・経過観察における超音波検査の有用性3 Cases of the Type I Autoimmune Pancreatitis by Usefulness of Ultrasonography in the Diagnosis and Follow-up

1国立病院機構大牟田病院臨床検査科Department of Clinical Laboratory, National Hospital Organization Omuta Hospital

2国立病院機構嬉野医療センター臨床検査科Department of Clinical Laboratory, National Hospital Organization Ureshino Medical Center

受付日:2017年12月26日Received: December 26, 2017
受理日:2018年7月13日Accepted: July 13, 2018
発行日:2018年10月1日Published: October 1, 2018
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症例1は70代女性.近医で血清アミラーゼ値上昇を指摘され,当院に紹介,入院となった.腹部超音波検査では膵頭部に径18×12 mmの低エコー腫瘤が認められ,膵体尾部はびまん性に腫大し,膵実質のエコー輝度は著明に低下し,実質内には高エコースポットが散在性に認められた.症例2は70代男性.1週間前より両側顎下部の腫脹を認め,精査目的のため当院紹介となった.顎下腺精査により顎下腺腫瘍が疑われ,病理検査にてIgG4関連疾患のミクリッツ病と診断された.IgG4関連疾患精査のため,腹部超音波検査を行い,膵体尾部のびまん性腫大を認め,エコー輝度の著明な低下,内部に高エコースポットの散在を認めた.症例3は50代男性.繰り返す腹部疼痛の精査目的のため当院紹介となった.膵頭部から体部にかけて軽度腫大し,膵実質のエコー輝度は著明に低下していた.また,実質内部は不均一で,高エコースポットが散在していた.

IgG4関連自己免疫性膵炎(type I autoimmune pancreatitis: 1型AIP)は,本邦から世界に発信された疾患概念で,中高年の男性に多く,腹痛や黄疸などの症状が認められる.膵癌や胆管癌などとの鑑別が重要となるが,その診断には画像所見,血清学的所見,病理所見,膵外病変の有無など総合的な評価が必要である.超音波検査は,空間分解能に優れ,診断や経過観察に有用であるが,今回我々は超音波検査が有用であった1型AIPを経験し,それぞれの超音波検査所見を中心に若干の文献的考察を加え報告する.

Key words: type I autoimmune pancreatitis; IgG4; IgG4-related disease; ultrasonography

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