超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 43(6): 708-713 (2018)
doi:10.11272/jss.43.708

症例報告Case Report

鈍的外傷を契機に発症した上腸間膜動脈・腹腔動脈解離の1例A Case of Isolated Dissection of the Superior Mesenteric and Celiac Artery Due to Blunt Trauma

1名戸ヶ谷病院放射線科Department of Radiology, Nadogaya Hospital

2成田赤十字病院検査部生理検査課Department of Clinical Laboratory, Narita Red Cross Hospital

3名戸ヶ谷病院外科Department of Surgery, Nadogaya Hospital

受付日:2018年3月27日Received: March 27, 2018
受理日:2018年6月22日Accepted: June 22, 2018
発行日:2018年12月1日Published: December 1, 2018
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症例は60歳台男性.右側腹部痛を主訴に来院.既往歴,家族歴ともに特記事項なし.飲酒後,駅構内の線路上で倒れているところを発見され,当院救急科搬送となった.外傷精査目的に腹部超音波検査(US),造影CT施行となった.USでは肝S4~右葉にかけて非常に不均一な領域を認めた.また肝臓周囲にecho free spaceも認められ,肝損傷が疑われた.腹部大動脈を観察すると上腸間膜動脈(Superior mesenteric artery: SMA)と腹腔動脈(celiac artery: CA)に一部紡錘状に変化している部位を認めた.さらにSMA紡錘部内を観察すると内腔に剥離したフラップ(flap)を示唆する高輝度線状エコーを認めSMA解離が疑われた.CAは紡錘状変化のみでflapは明らかではなかったがADF(Advanced Dynamic Flow)で二腔に描出され解離を疑った.造影CTでは肝S4~右葉にかけて低吸収域を認めた.腹部造影CTでは同部位は造影されずextravasation(造影剤の血管外漏出)も認められ,肝損傷が疑われた.SMA·CA共に内腔に解離を疑うflapを認めた.大動脈解離を伴わない孤立性SMA解離はまれとされている.その中でもCA解離も合併した症例は非常に稀有であり,今回鈍的外傷を契機に発症したSMA·CA解離の症例を経験したので文献的考察も交えて報告する.

Key words: dissection; superior mesenteric artery; blunt trauma

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