超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 44(1): 51-55 (2019)
doi:10.11272/jss.44.51

症例報告Case Report

橈骨動脈穿刺後の仮性動脈瘤および動静脈瘻合併の1症例A Case of Aneurysm and Arteriovenous Fistula after Radial Artery Puncture

1長崎みなとメディカルセンター臨床検査部Department of Clinical Laboratory, Nagasaki Harbor Medical Center

2長崎みなとメディカルセンター心臓血管外科Department of Cardiovascular Surgery, Nagasaki Harbor Medical Center

受付日:2018年7月30日Received: July 30, 2018
受理日:2018年10月22日Accepted: October 22, 2018
発行日:2019年2月1日Published: February 1, 2019
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症例は80代女性.心臓カテーテル検査施行2週間後に右手関節部橈側の腫脹,圧痛を主訴に来院した.仮性動脈瘤の疑いで超音波検査を施行した.聴診で連続性雑音を聴取し,右手関節部橈側に19×4 mm大の血腫が確認され,血腫中央部に右橈骨動脈より伸びる2 mmの突出像を認めたため,仮性動脈瘤形成が疑われた.さらに仮性動脈瘤と尺側の橈骨静脈間にPerivascular color artifactが認められ,パルスドプラでは連続性の拍動性血流が観察された.以上より右橈骨動脈の仮性動脈瘤および動静脈瘻の合併が疑われた.超音波検査の結果を受け治療目的で同日に入院した.入院直後超音波ガイド下にて用手圧迫,止血用押圧器具を用い仮性動脈瘤,動静脈瘻の消失が確認されたが翌日再開通していた.フォローアップの超音波検査では橈側の橈骨静脈にもPerivascular color artifactが出現しその後仮性動脈瘤の増大やシャント音の増強が認められた.非観血的な治療では止血困難と判断され伴走する2本の橈骨静脈は結紮し,仮性瘤は切除された.術後経過は良好で入院後17日で退院となった.本症例は,心臓カテーテル検査において伴走する橈骨静脈間の交通枝を貫き,同部位に橈骨動脈仮性動脈瘤を形成し,さらに橈骨静脈間の交通枝を介する動静脈瘻を合併したまれな症例と思われたので報告する.

Key words: pseudoaneurysm; arteriovenous fistula; radial artery

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