超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 51(1): 26-32 (2026)
doi:10.11272/jss.461

症例報告Case Report

茎状突起過長症に伴い内頸動脈解離をきたした1例A Case of Internal Carotid Artery Dissection Due to Elongated Styloid Process

1藤田医科大学岡崎医療センター臨床検査部Department of Clinical Laboratory, Fujita Health University Okazaki Medical Center

2藤田医科大学病院放射線部Department of Radiology, Fujita Health University Hospital

3藤田医科大学医学部臨床検査科Department of Joint Research Laboratory of Clinical Medicine, Fujita Health University School of Medicine

4藤田医科大学病院臨床検査部Department of Clinical Laboratory, Fujita Health University Hospital

受付日:2025年6月6日Received: June 6, 2025
受理日:2025年10月29日Accepted: October 29, 2025
発行日:2026年2月1日Published: February 1, 2026
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茎状突起過長症は,茎状突起の過長や茎状舌骨靭帯の石灰化・硬化に起因した種々の症状を呈する疾患である.今回,過長茎状突起による頸動脈への機械的刺激によって内頸動脈解離を生じたと考えられた症例を経験し,頸動脈超音波検査にて過長茎状突起の描出に成功したので報告する.症例は50代の女性で,右頸部痛および頭痛を主訴に近医を受診.頭部MRI検査にて右内頸動脈領域に散在性の脳梗塞を指摘され当院へ入院.入院時MRA検査にて右頸動脈分岐部から内頸動脈にかけて頸動脈解離が疑われた.入院時CTA検査にて,茎状突起長は右側29 mm, 左側28 mmと茎状突起過長を認め,茎状突起過長症に伴う内頸動脈解離と診断された.初回の頸動脈超音波検査では,右頸動脈分岐部から右内頸動脈にかけて低輝度充実性プラークを認めた.他部位には動脈硬化を認めず,偽腔閉塞型の解離部分に相当する像と考えた.コンベックス型プローブにて右内頸動脈の遠位部を観察すると,高輝度の索状構造物が右内頸動脈に近接しており,構造物は茎状突起であると考えた.頸動脈超音波検査は,過長茎状突起と内頸動脈との解剖学的位置関係を低侵襲かつリアルタイムに評価できるモダリティであり,茎状突起過長症に起因した虚血性脳卒中の発症リスクの評価や診断に有用である.

Key words: Eagle’s syndrome; Elongated styloid process; Carotid Artery Dissection; Bony stroke

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