超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 51(6): 619-627 (2026)
doi:10.11272/jss.466

症例報告Case Report

僧帽弁下組織の評価が僧帽弁逆流の原因検索に有用であった2症例Two Cases in Which Evaluation of Subvalvular Mitral Apparatus Was Useful for Identifying the Cause of Mitral Regurgitation

1 長崎大学病院超音波センターUltrasound Imaging Center, Nagasaki University Hospital

2 長崎大学病院検査部Department of Laboratory Medicine, Nagasaki University Hospital

3 長崎大学病院循環器内科Department of Cardiovascular Medicine, Nagasaki University Hospital

4 長崎大学病院心臓血管外科Department of Cardiovascular Surgery, Nagasaki University Hospital

受付日:2025年11月13日Received: November 13, 2025
受理日:2026年7月28日Accepted: July 28, 2026
発行日:2026年10月1日Published: October 1, 2026
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【症例1】20代,男性.近医で僧帽弁閉鎖不全症(mitral regurgitation: MR)を指摘され,当院へ紹介受診となった.

経胸壁心エコー図検査(transthoracic echocardiography: TTE):重症MRを認めた.僧帽弁後尖の弁尖は,左室側へ偏位しており,可動性が乏しく,前尖のpseudo prolapseを認めた.弁尖は両尖とも肥厚しており,前尖はdomingを認めたが,有意な僧帽弁狭窄は認めなかった.腱索の肥厚と短縮を認め,特に後乳頭筋の腱索の肥厚と短縮が強く,後尖の可動性を制限しているように観察され,これがMRの原因と考えた.

術中所見:僧帽弁前尖と両交連部が肥厚,後乳頭筋から起始する腱索が短縮,二つの後乳頭筋が癒合していた.これらの所見は炎症性変化を示唆する所見であった.短縮していた腱索を切除し,癒合していた二つの後乳頭筋に対しては離断を行い,弁尖の可動性を改善した.また僧帽弁輪形成も行った.術後のMRはごく軽症に改善した.

【症例2】60代,男性.近医で重症MRを指摘され,当院へ紹介受診となった.

TTE:重症MRを認めた.僧帽弁尖は両尖とも左室側へ偏位していたが,左室拡大は認めなかった.前乳頭筋が太くて長く,そこから起始する腱索は短縮していた.先天性の僧帽弁下組織の形態異常がMRの原因と考えた.

術中所見:前乳頭筋は太く,そこから前尖に付着する腱索も短く,未分化乳頭筋の様相を呈していた.前乳頭筋から起始する短い腱索は温存ができず,僧帽弁置換術が施行された.

結語:僧帽弁複合体を評価することはMRの原因解明と手術計画に有用であった.

Key words: mitral regurgitation; rheumatic mitral valve disease; undifferentiated papillary muscle; undifferentiated chordae tendineae

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