超音波検査技術

ISSN: 1881-4506
一般社団法人日本超音波検査学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5
Japanese Journal of Medical Ultrasound Technology 49(2): 138-144 (2024)
doi:10.11272/jss.410

症例報告Case Report

腸間膜デスモイド型線維腫症の1例A Case of Mesenteric Desmoid-type Fibromatosis

1亀田総合病院超音波検査室Department of ultrasonographic examination, Kameda Medical Center Hospital

2亀田総合病院消化器内科Department of Gastroenterology, Kameda Medical Center Hospital

3帝京大学ちば総合医療センター消化器内科Department of Gastroenterology, Teikyo University Chiba Medical Center

受付日:2023年4月18日Received: April 18, 2023
受理日:2023年12月1日Accepted: December 1, 2023
発行日:2024年4月1日Published: April 1, 2024
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腸間膜デスモイド型線維腫症は,緩徐に成長するまれな線維腫症の一種である.腸間膜腫瘍は,特徴的な画像所見がないことから術前診断は困難なことが多い.今回我々は,まれな疾患である腸間膜デスモイド型線維腫症の1例を経験したので報告する.症例は60代,男性.他院の人間ドックで腹腔内腫瘍を指摘され,当院消化器内科紹介受診.腹部超音波検査で右腹部に59×50 mmの類球形低エコー腫瘤像を認めた.輪郭整,内部不均一で一部に血流シグナルを認めた.体位変換で可動性を認め,小腸もしくは腸間膜由来と考えた.腫瘤は小腸筋層と連続している印象があり,小腸由来の消化管間質腫瘍を第一に考え,鑑別に線維腫,線維肉腫など腸間膜由来の腫瘍を考えた.精査の結果,小腸由来の消化管間質腫瘍疑いで手術となった.病理組織検査では核分裂像を認めない線維芽細胞と膠原線維の増殖像を認め,腫瘍は小腸筋層に浸潤していた.免疫染色ではCD34, c-kit, S100, SMAがいずれも陰性,β-catenin陽性で,デスモイド型線維腫症と診断された.

Key words: mesenteric desmoid-type fibromatosis; desmoid tumor; ultrasonography

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